あなたは「大人になってアトピー性皮膚炎を発症した」と悩んでいませんか?
- 全身に塗り薬をぬりたくる状況に疲れた
- つらくて、仕事もままならない
- 最終的には脱ステロイドを目指したい
アトピーとステロイド。どちらも本当に辛いですよね。
ステロイドは強い薬で体に負担がかかります。
かといってステロイド塗らないと、かゆみに耐えられませんよね。
アトピー性皮膚炎の治療の目標は、大きくいって2つです。
- アトピーがあっても症状が無い。
- 症状があっても経度で、日常生活に支障がない。
これら状態を維持すること目標に、治療がすすめられます。
この記事では、アトピー性皮膚炎に関する基本的な情報をまとめました。
- アトピー性皮膚炎の原因は?
- アトピーの治療、塗り薬の塗り方は?
- アトピーの予防はできるの?
こうした疑問に対して、それぞれ基本的な解説を行っていきます。
皮膚が乾燥しやすい冬の時期にはアトピー性皮膚炎のケアに注意が必要です。
アトピー性皮膚炎皮膚が乾燥すると悪化します。
また、今現在悩んでいる方のために、
- ステロイド塗りの注意点
- お医者さんや病院とのかかわり方
について、後半でご紹介しています。
あなたの参考になれば幸いです。
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アトピー性皮膚炎 発生の原因
まず、アトピー性皮膚炎は、どうして発生してしまうのでしょうか?
アトピー性皮膚炎と乾燥肌の違い
単なる乾燥肌とアトピー性皮膚炎の違いはどこにあるのでしょうか?
乾燥肌は体内の水分が蒸発し保湿力が低下したことで起こるものです。
それに対してアトピー性皮膚炎は、一種のアレルギーです。
乾燥した肌の状態に対して、食べ物やほこりや花粉といったアレルギー性物質が体内に入り込む。
アレルギー性物質が、皮膚を刺激し、湿疹となりアレルギーを起こした状態。これをアトピー性皮膚炎と言います。
なぜアトピー性皮膚炎は子供に発生しやすいのか?
アトピー性皮膚炎は大人でも症状を発生させることがあります。
しかしほとんど多くの場合は、子供の時期にアトピー性皮膚炎に罹患する方が多いです。
それはなぜかというと、小さい子供は皮脂の分泌量が少ないためです。
皮脂は外からの刺激に対するバリヤーの役割を持ち、皮脂の少ない子供は肌が弱いため、大人に比べ、常に外からの刺激を受けやすい肌状態にあります。
極端に言えば、つねに子供はひどい乾燥肌の状態にある、と考えておく方がいいかもしれません。
子どもの皮膚はぷるんぷるんです。
ほっぺたなんか柔かくて、ついつい突いてしまいたくなりますよね。
それも刺激の1つですので、子どもの肌に触りすぎることは、あまりよくありません。
子どもは大人に比べて水分が多く、ぷるんぷるんの肌に見えても、皮膚が乾燥や刺激に強いわけでありません。
潤っているように見えても、常に保湿することを心掛けておきましょう。
アトピー性皮膚炎発症の2つの原因
アトピー性皮膚炎を発生させる原因としては大きく2つあります。
原因その1.体質
1つは体質によるものです。
生まれつき皮脂の分泌が通常よりも少ないなど、皮膚のバリア機能が弱いこと。
また食物などに対するアレルギーを持っているという体質の方。
アトピー性皮膚炎は一種のアレルギー症状なので、アレルギー体質を持つ方は、アトピー性皮膚炎を起こしやすいといえます。
体質は親からの遺伝もありますので、後天的なケアだけでは、いかんともしがたい部分もあります。
原因その2.環境
原因のもう1つは、周りを取り巻く環境。
例えば乳幼児であった場合、よだれや食べ物、汗や衣服の摩擦といったことで、皮膚が刺激されます。
小さい子供はまだ皮脂の分泌が少なく、刺激に弱い肌です。
外からの汚れや摩擦に対して肌を守る力がないため、アレルギーを引き起こしてしまう可能性が大人に比べて高いです。
例えば赤ちゃんや小さいお子さんの、飲み物を飲んだり、食べ物を食べる時。
よく口の周りに食べ物や飲み物をつけてしまうことがありますよね。
これをほうっておいたりすると皮膚が真っ赤っかになってしまうことがあります。
こういうことが皮膚のバリア機能を低下させ、最悪の場合アレルギーを起こし、アトピー性皮膚炎につながる恐れもあります。
子どもが1人で何かを食べる時なども、できるだけ見守ってあげましょう。
アトピー性皮膚炎 治療の3本柱
アトピー性皮膚炎を治療する際には大きく3つのアプローチがあります。
- 悪化要因除去
- スキンケア
- 薬物療法
これらを適切に組み合わせることで、アトピー性皮膚炎の治療や改善を目指します。
皮膚炎を悪化させる最大の要因は?
例えば汗は皮膚の状態を悪化させる物質ですが、汗をかくこと自体は悪いことではありません。
しかし、かいた汗をそのまま長時間放置しておくことで汗が皮膚への刺激になってしまいます。
汗をかいたらそのままにせず、ぬれたタオルで拭いたり、水道水やシャワーで洗い流すという対策を、小さいお子さんにはこまめにとると良いでしょう。
アトピー性皮膚炎の最大の悪化要因は、かゆい湿疹があるということです。
アトピー性皮膚炎は湿疹を併発します。
その指針が猛烈にかゆいのでどうしても我慢できず皮膚をかいてしまいます。
皮膚をかくことで皮膚にダメージを与えてしまい、外界からの刺激に対するバリア機能がさらに低下する。
バリア機能が低下した皮膚に対しては、外から刺激やアレルギー物質が侵入しやすくなる。
さらに湿疹を引き起こし、更なるかゆみを引き起こします。
こうしてアトピー性皮膚炎は湿疹と痒みの悪循環によって症状の悪化を引き起こしてしまいます。
湿疹はそのままにしておくと絶対に良くはなりません。
どうしようもないほどかゆみを耐えることは、子どもはもちろん、大人でさえ難しいです。
したがって日ごろからの適切なスキンケア、また湿疹を鎮めるための薬物療法が必要となってきます。
スキンケアの指針と注意
スキンケアの基本は洗うことと、保湿することです。
まずは洗い方について。
日常で皮膚を洗う機会は、ほとんど入浴時ですよね。
皮膚に負担をかけない入浴法として、ポイントが5つあります。
- 石鹸は十分に泡立てる
- 手のひら又は柔らかいタオルで洗う
- 湿疹部分もきちんと洗う
- 汗や石鹸をしっかりと洗い流す
- 40度以上の熱いお湯や長風呂は避ける
このあたりは、普段の乾燥肌対策と、同じことを心掛けましょう。
(関連記事)冬の乾燥から肌を守る3つの保湿剤の特徴や塗り方のポイントは?
保湿について
アトピー性皮膚炎のスキンケアでは、保湿剤を塗るタイミングは少なくとも1日2回、朝と入浴直後に塗ることが必要です。
特に冬は湿度が低く、もともと肌が乾燥しやすい環境にあるので、1日2回以上塗ってもOKです。
外出先にも保湿剤を携帯し、肌が乾燥しているなと思ったらこまめに塗ることが必要です。
また、皮膚の状態が改善しても、保湿剤に関しては使用を継続することが必要です。
保湿剤の塗布を怠るとまたすぐに乾燥肌に戻ってしまう恐れがあります。
薬物療法
湿疹やアトピー性皮膚炎に対する薬は、主に塗り薬です。
かゆみの抑制のために、飲み薬が処方されることもあります。
塗り薬は主に2種類です。
- 抗炎症作用のあるステロイド
- 免疫調整機能のあるタクロリムス
ステロイドとタクロリムスは、かゆみと湿疹に効果があります。
ステロイドとタクロリムスのどちらを塗るかは、患者の年齢や湿疹の程度、場所によってそれぞれ使い分けがあります。
痒みがひどい場合、湿疹そのものには効果はありませんが、かゆみを抑えるための飲み薬として抗ヒスタミン薬が処方されることもあります。
ステロイドの塗り薬の5つの注意点
ステロイドをアトピー性皮膚炎の治療のために塗る場合は、必ず医師の処方指示を受けてください。
同じ薬を使いまわさないこと
ステロイドの塗り薬は症状の具合に応じて薬の強さが5段階に分かれています。
例えば顔用に出された薬は顔に、腕用に出された薬は腕に塗る、というように医師の指示通りに必ず使い分けましょう。
同じステロイドだからといって1つの薬を身体のあちこちに使いまわしては絶対にいけません。
その2 ステロイド吸収率は身体の部位によって違う
ステロイドの吸収率は体の部位によって全く異なるため、むやみに塗ってはいけません。
例えば腕の内側の吸収率を1とすると頬は13倍の吸収率、陰部は42倍の吸収率と言われています。
腕の内側用のステロイドの強さが、頬にとっては強すぎるということも充分に考えられます。
反対に、足の裏は、腕の内側に比べてステロイドの吸収率が10分の1になります。
したがって、自分の判断であちこちに使ってしまうと、適切な効果が得られません。
それだけでなく、かえって湿疹を悪化させてしまう恐れもあります。
こういうわけで、自己判断ではステロイドを使用しないようにしましょう。
必ず皮膚科の医師の診察や指示を仰いでください。
その3 ステロイドの塗り方:すりこまないこと!
塗り方も注意が必要です。
すりこむように塗る。これは悪い塗り方です。
かゆいからついついこするように塗り込んでしまいますよね。
しかし湿疹を起している肌は、表面がデコボコしています。つまり、患部は、出っ張っているわけです。
ステロイドをすりこんでしまうと、デコボコした患部の奥に薬が入ってしまい、肝心の出っ張っている湿疹の患部がむき出しになってしまいます。
また薄く塗っても、患部をステロイドによって覆うことができず、効果が期待できません。
ステロイドはを正しく塗るためにはたっぷりと、皮膚全体に乗せるようにステロイドを塗りましょう。
その4 保湿剤とステロイドはどちらを先に寝るべき?
保湿剤とステロイドどちらを先に塗ったらいいかも、悩みどころです。
これは保湿剤を先に塗りましょう。
保湿剤を全身に塗った後に、肌触りがゴワゴワしている場所、湿疹のある部位に、ステロイドを重ね塗りすることが効果的であると言われています。
しかし湿疹の状態が既にかなり悪化しており、ジクジクした湿疹がある場合などには、保湿剤よりも先にステロイドを塗るべきです。
このように症状や湿疹の悪化の度合い、場所によって様々なケースがあります。
したがってそれぞれの患者や患部の具体的な塗り方の方針に関しては、医師の指示を受けることが必要です。
その5 薬物療法はいつまで続ければいいのか?
アトピー性皮膚炎に対する薬物治療がいつまでたっても終わらないという不安や悩みを抱えている方は多いと思います。
ステロイドはいつまで続ければいいのでしょうか?
ステロイドを塗り保湿剤をで皮膚を保護することにより湿疹部分は改善の兆しが見えてきます。
そうしたら、ステロイドの薬を弱くして、塗る間隔を長くすることができます。
万一、これによって再び悪化の兆しが見えたときは、直ちにステロイドの効果を強くし塗る間隔や回数も増やす。
こんなふうに、その都度対応していきます。
こうしたケアを続けていくうちにだんだんと長い目で見ればステロイドの強さは弱いものになっていき、塗る間隔も頻度も徐々に少なくなっていくものです。
やがて湿疹が治り、見た目にはきれいな皮膚になっている状態まで戻ります。
しかし治ったばかりの皮膚では、まだ皮膚を触ってみると、盛り上がりであったり芯が残っているような感触があるかと思われます。
こういう状態は、見た目・表面は綺麗に見えるけれども、皮膚の下で軽い炎症がまだ残っています。
したがって、一見湿疹が治って綺麗な肌に見えても、しっかりと触って確かめ、根気よく治療を続けていきましょう。
皮膚の盛り上がりや芯があるような感触がなくなれば、治療が終わり完治と言えるような状態です。
そこまで肌状態を改善できれば、薬物治療はもう必要ではなく、保湿剤によるスキンケアだけで対応することができます。
薬物治療のポイントは、長い目で治療を継続すること。
湿疹ができてもあせらずステロイドを塗ることで、肌が良い状態で過ごせる時間を少しずつ長くしていくことが重要です。
かゆみは、湿疹悪化の原因です。
肌が痒くてつらい、湿疹がかゆくてたまらない、という状況できるだけ作らないようにする。
そのために、治療薬の塗布を継続していけば、だんだんと皮膚の状態は改善してくるはずです。
皮膚科の医師との関わり方・良い病院の選び方
以上見てきたように、アトピー性皮膚炎は、治療に当たっては、具体的なケースに応じて、塗り薬も塗り方も薬の強さも変わってきます。
皮膚炎や湿疹は、単純にこの薬を飲んでおけばいいというような症状ではありません。
したがって医師とのコミュニケーションが必要です。
湿疹の箇所が複数に渡っている場合など、それぞれの部位に対する湿疹の薬の塗り方や塗る回数などについて、しっかりと医師に聞いておきましょう。
自分でいざステロイドを塗る段になって、疑問が出てくることのないように、あらかじめ医師にいろいろと聞いておきましょう。
そして皮膚炎の状況は毎回の診察時には変わってくると思います。
診察の際には医師にしっかりと今の皮膚の状態を診てもらうようにしましょう。
皮膚の状態をろくに見ないで薬だけ処方するような医師は、もしかしたらあまり信用できないかもしれません。
しっかりと医師に皮膚の状態を診てもらって下さい。
まとめ アトピー性皮膚炎の予防について
アトピー性皮膚炎を予防することはできるのでしょうか?
今現在の医学では、アトピー性皮膚炎を100パーセント完全に予防することは方法はまだ発見されていません。
両親や兄弟にアトピー性皮膚炎を持っている人がいると、その生まれてくる子供もアトピー性皮膚炎を発症しやすいです。
そういう家族を持つ新生児に対して、生後1週間から32週間後(およそ7~8カ月間)にわたって、保湿剤を毎日全身に塗ることによってアトピー性皮膚炎の発症率がおよそ3割・30%低下したという研究結果が出ています。
家族のうちにアトピー性皮膚炎がいる方はもちろん、いない方であっても、生まれたての赤ちゃんには生後1週間から半年くらいは毎日全身に保湿剤を練ることでアトピー性皮膚炎の発症を予防することができます。
特に皮膚の乾燥が進みやすい冬はしっかりと毎日保湿剤によるスキンケアをしましょう。